今注目されつつある「メディカルフィットネス」とは?

近年、将来にわたって健康を維持するための取り組みが国を挙げて推進されています。生活習慣の見直しや定期的な検診など、病気になることを予防するために個人でできる取り組みも多種多様です。

そのなかで、最近、注目を集めているのが安全かつ病気の予防・改善にもつながる「メディカルフィットネス」です。

そこで今回は、まだ広く知れ渡っていないものの、これから目にすることが多くなるかもしれないメディカルフィットネスについて解説します。

メディカルフィットネスとは?

フィットネスとは、一般的に健康維持や増進を目的に行うための運動のことを指します。そのためメディカルフィットネスは、医療的な要素を加えた運動によって健康維持などを図る意味として使われることが多いです。

ただ、実はメディカルフィットネスにはしっかりとした定義はありません。語源は意外にも古く、1980年代には医療機器メーカーによって広告宣伝等に利用されていました。

そのため「医療機関が運営するフィットネス施設」を指すケースも少なくないが、医療関係者がいなくても「医療的なエビデンス」に基づいた指導を行う際もメディカルフィットネスと称する場合もあります。

ちなみに「医療関係者が運営するフィットネス施設」がメディカルフィットネスとして理解されやすい理由の1つが、医療機関がメディカルフィットネスを運営する際に届け出が必要なことに加え、厚生労働省の「厚生労働大臣認定 健康増進施設制度」によるものが大きいです。

■厚生労働大臣認定 健康増進施設制度
「運動型健康増進施設」、「温泉利用型健康増進施設」、「温泉利用プログラム型健康増進施設」の3種類の施設を認定することで、国民の健康づくりを推進する制度。


※出典:国土交通省「健康増進施設認定制度」 

このようにメディカルフィットネスには複数の定義がありますが、一般的には通常の指導に医療的な要素を加えて、健康への効果の増大や適正な指導につなげるための運動と理解して間違いはないでしょう。

メディカルフィットネスの必要性が高まる理由

メディカルフィットネスの対象は幅広く、生活習慣病やメタボのほか一般的な健康維持増進だけでなく、病気や怪我などのリハビリ、介護ケア・介護予防、既に発症してしまった生活習慣病の予防など様々です。

近年、日本人の平均寿命と「健康寿命」の差が問題視されることが多いことから、健康維持につながるメディカルフィットに注目が集まりつつあります。

「健康寿命」とは、平均寿命から寝たきりや認知症といった介護状態の期間を差し引いた期間であり、WHOが提唱した国際的な指標の1つです。
厚生労働省によると2016年の日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳で、健康寿命は男性が72.14歳、女性74.79歳となっています。
約10歳の差を小さくするためには、高齢者はもちろん、若いうちから健康な体を維持し続ける必要性が高いと考えられます。
このような社会的な背景や健康ブームの高まり、さらに病気を発症させないという一次予防医療の観点から、メディカルフィットネスの必要性が向上していると考えられます。


※出典:厚生労働省「平均寿命と健康寿命の推移」 

本来、医療法人というのは、原則として病院やクリニックの運営以外の業務を禁じられていますが、医療法第42条によって病院やクリニックの附帯業務として運営が認められています。

 定義としては、疾病予防のために有酸素運動を行わせる施設となっています。医療法第42条では、以下のように施設基準が設けられています。

・医療法第42施設の基準

厚生労働省では、医療法第42施設の施設基準を以下のように定めています。

・職員に関する基準

健康運動指導士、その他これに準ずる能力を有するもの

・設備に関する基準

  • トレッドミル自転車エルゴメーター。その他の有酸素運動を行わせるための設備
  • 筋力トレーニング、その他の補強運動を行わせるための設備
  • 背筋系、肺活量測定用具。その他の体力を測定するための機器
  • 最大酸素摂取量を測定するための機器
  • 応急の手当てを行うための設備

・運営方法に関する基準

  • 成人病その他の疾病にかかっている者及び血圧の高い者、高齢者その他の疾病予防の必要が高い者に対し、適切な保健指導及び運動指導を行う。施設として運営されること
  • 施設に置かれる診療所は、施設の利用者に対する医学的な管理を適切に行えるよう運営されること
  • 会員等の施設の継続的な利用者に対して、健康診断保健指導及び運動指導を実施すること
  • 会員等の施設の継続的な利用に対して、健康記録カードを作成し、これを適切に保存、管理すること

42条施設で義務付けられている、42条施設に付置される診療所については3点の規定があります。

  1. 医療法第12条の規定による管理免除または2箇所管理の許可は原則として与えないこと
  2. 診療所と疾病予防運動施設の名称は、紛らわしくないよう、別のものを用いること
  3. 既設の病院または診療所と同一の敷地内、または隣接した敷地に疾病予防運動施設を設ける場合にあっては、当該病院、または診療所が疾病予防運動施設の利用者に対する適切な医学管理を行うことにより、新たに診療所を設けなくとも良いこと

このように医療法第42条によって医療法人でもメディカルフィットネスを運営することは可能ですが、施設基準を満たすためのハードルは非常に高くなっています。

例えばトレッドミルなどを導入するということになると、100万円単位の設備が必要になってきますし、背筋系や肺活量、測定用具などの体力を測定するための機器。こちらについても非常に高価な投資をしなければなりません。

 一方で医療法第42条にこだわりがない場合では、医療法人ではなく、株式会社などの営利法人によって、メディカルフィットネスを独自の内容で提供することは可能です。

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